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東京物語
映画 『東京物語』
小津安二郎の作品で映画史に残る傑作であることは知ってたのですが
今回初めて観ることになりました。
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東京に住んでる子供達に会いに行く、老夫婦の話。
っていう内容なんですが、ものすごく勉強になる映画だった。
 
家族と住宅の在り方。
 
戦前、日本の家族構成はお爺ちゃん、お婆ちゃんを筆頭に、その孫までの
大家族が基本で、その大家族の近所には親戚が住み、町内やら、村自体が
一つの家族みたいなコミニティを構成していたはず。
『東京物語』は戦後その大家族が分解し、子世代が東京、大阪へ出て核家族と
して日常をおくっている。その核家族化によって失われたモノを一つ一つ映し出し
てくれている。
失われたモノ。それは、子から親への感謝。孫から祖父母への尊敬。
家族という意識から、個人という意識の始まり。
しかし、変わりつつある日本人の家族の在り方を受け入れていた住宅は
まだ戦前と同じように衣食住がごちゃ混ぜ、建具で仕切るほぼワンルームのよう
な小さな住宅だった。
この映画から50年以上経過した現在、家族の在り方は劇的に変化している。
核家族なんて言葉は死語となり、住宅の中で個人の居場所を求める。
自分の部屋、自分の書斎、自分のパソコン(インターネット)
親と子の会話はほとんどなされず、子供はゲーム。

薄れていく家族という意識を、住宅を設計することで食い止めることができる
のか? 食い止める必要なんてないのか?
住みやすい家や、快適な家なんかより、その家族(施主)の在り方を知る
ことで、出てくる答えを住宅に映し出す。それが一番大事なのかもしれない。

家族と住宅について沢山宿題をくれた、本当に良い映画だった。(森)

PS:映像の美しさ、原節子の美しさ、失われた言葉遣い、失われた日本の習慣。
  他にも色々考えさせてくれる本当に教科書みたいな映画です・・・ 
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by aunmidori | 2007-07-14 11:14 | 映画 | Comments(0)
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